ひとり相撲

僕が興味を持った有る事無い事を、書いたり書かなかったり

ヘヴィメタル小噺

折角インターネット上に初めて野糞を垂れ流すのなら好物の話題から。

アイアンメイデンというバンドをご存知でしょうか、ハードロックヘヴィメタルを愛聴する方々なら100%ご存知であろう、イギリスが誇る世界的超有名大御所ヘヴィメタルバンドです。昨年通算16作目となるアルバム「The Book Of Souls」をリリース、それに伴い今年からアメリカを皮切りにワールドツアーを敢行、およそメンバー全員還暦近いとは思えない程のバイタリティで世界を駆け回り今も尚第一線で活躍し続けている、文字通りのモンスターバンドです。

去る4月20日、両国国技館で日本初日公演が行われました。普段は浴衣姿の力士で埋め尽くされている両国も、この日ばかりは黒Tシャツとダブルのライダースを身にまとったゴリゴリのメタルヘッズ達でごった返していました。そんな中にもスーツを着た中間管理職のような出で立ちの方や子連れの方、髪が長過ぎて普段何をなさっているのか全く検討も付かない方などいらっしゃって、勝手に心が暖かくなっている次第でありました。更には恐らく自作であろうアイアンメイデンのマスコットキャラクター「エディ」のマスクを被った人や髪が長過ぎる人も居て熱心なファンもいるなぁと感慨深い気持ちでいっぱいでした、後は長髪の人や、髪が長過ぎる人も居ました。

さて、肝心要のライブですが、それはそれは筆舌に尽くしたいモノでした。席自体は西側二階席の1番後ろと絶望的な配牌だったのですが、遠すぎるなという印象は無く、毛穴までクッキリとは言えないもののメンバー達のパフォーマンスはしっかりと確認出来たためそこまで悪いといった心地です。

選曲はやはり新譜を出したばかりで新しい楽曲が多く、ライブ映像でも見たことないパフォーマンスが盛り沢山と言ってもいいでしょう、今回のアルバムはどうやらマヤ文明がコンセプトらしく、遺跡のような舞台セットの上で妖しげなスモークが立ち込める不気味な雰囲気中、とても年齢を感じさせないプレイで観客を湧かせるメンバーには驚嘆の一言と言っていいでしょう。The Red And The Blackは非常に素晴らしかった。少し前まで癌治療を受けていたとは思えないVoのブルースのパワーは特に凄まじく、僕自身エディよりもブルースの方が化け物に見えて仕方ありませんでした。また往年の名曲はやはり素晴らしく、特にFear Of The Darkの合唱には嬉ションを禁じえません。デイブ・マーレイのギタープレイは流麗且つ華麗、今風の派手なテクニックこそ無いもののトラディショナルなプレイで熟年の業を感じさせてくれます。スティーブ・ハリスはやっぱり短パンでサッカー少年のような出で立ちは変わらず、特徴的なアタック音の効いたベースでバンドアンサンブル自体を牽引する、正にアイアンメイデンの顔と言えるでしょう。ヤニック・ガースはひたすら元気でした。

ただ少し気になるのは往年の名曲と最新曲の盛り上がりに差がある所でしょうか、これだけキャリアがあるバンドですから昔からのファンは同窓会のようなセットリストを望んでいたのではないかと思います。僕自身まだまだ古参とは名乗れる立場ではないですがやはりもう少し古いナンバーを聴きたいと思わなくは無かったです。けれどもバンド自体は今も尚活動しており、作品を出してツアーを回っている現役のバンド、バンド自体は前に進んでいるのにリスナー達は立ち止まっているように感じました。勿論新譜をしっかり聴き込んでいる方も多いでしょう。しかし歓声を聴くとやはりどうしても古い曲の方が大きかったと確信を持って言えます。

仕方が無いこと、と言っていしまえば簡単です。しかしバンドとしてはどうなのでしょうか。新しい作品を作っても、求められるモノは古いもの、その古いモノを求めている人もただノスタルジーに浸りたいだけなのかもしれません。この考え自体が僕の考え過ぎでしょう、だけど少しだけシコリの様なものを感じたのもまた事実です。確かにThe TrooperやIron Maidenを越えるような楽曲がここなら先生まれるとは想像しにくい、新しい楽曲も悪いとは思いませんがこれらを凌ぐ曲かと聞かれたら手放しにイエスとは答えられないと思います。だけど先も述べたようにバンド自体は常に前進を続けている。ならばただノスタルジーに浸るだけでは無く、共に進みバンドの今を見つめるのもファンの役目であると感じます。新しい楽曲をただ御中元とか年賀状みたいな感覚で受け取るだけではなく、まだ10代の時に夢中で聴いていたあの頃のように楽しまなくてはならない、あの頃の感覚を今も忘れてはいけない、義務では無く、感情に従うべきである、改めてそう実感した1日でした。

長々書いてきましたがこれだけ声を大にしていいたい。

アイアンメイデン本当最高